最終更新日:2024.09.02
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ドバイに税金がない!その理由とは?税制とメリットも解説!

ドバイは、税金がかからないと聞いたことはありませんか。税金が全くかからないというわけではないですが、税優遇されているのは事実です。税優遇されている理由や税制を知らないと、ドバイで受けられる税優遇の恩恵を十分に受けられないでしょう。また、条件によっては税優遇が適用されず、思っていたより多くの税を納めなければならない事態になってしまうこともあります。

ドバイでの税優遇を十分に受けられるようにするためにも、本記事では、ドバイの税金の背景と税制のメリット、準備しておくべき税制のリスクを記載しました。最後までご覧ください。

目次

ドバイで税金がかからないと言われている理由は3つ

ドバイで税金がかからない理由を知ることで、税制の理解が深まり、ビジネスに活かせます。その理由を確認しましょう。

 

豊富な石油と天然ガス

ドバイは、UAE(United Arab Emirates)の中の地区の1つです。UAEは、世界でも有数の石油生産国で、国営石油会社を保有しています。そのため、石油や天然ガスによる収入は大きく、政府の大きな財源の1つです。莫大な財源があることから、所得税に頼る必要はなく、公共交通機関やインフラの導入に貢献しています。

 

経済の成長

ドバイは、貿易や金融、観光、不動産を通して外国との経済的なつながりを強固なものとしてきました。ドバイは、GDPの約80%以上が非石油部門で、非石油部門からの収入が大きいことが特徴です。

 

ドバイは、ビジネスのしやすさに重点をおいており、ライセンス獲得の合理化やコスト削減、スタートアップ企業への成長促進などを図っています。また、デジタル部門での世界的地位を強化するため、イノベーションや人工知能、テクノロジーに力をいれています。そのため、デジタル部門の企業が参入しやすいのが現状です。

 

ドバイ政府の歳入の70%以上は、手数料収入です。経済成長に伴い、法人設立や土地移転、運輸など手続きを行う場面が増えるほど、ドバイの財源は増えています。

 

公的債務が少ない

UAEは、天然資源だけではなく、経済の多角化などの収入源から公的債務を抑えています。主要な国の政府総債務残高対GDP比は、米国(122%)、カナダ(107%)、イギリス(101%)、中国(83%)ですが、UAEは30%です。債務は、他の国と比べて余裕があります。そのため、税金は政府の収入を多様化するための財源の1つとなっています。

 

ドバイの税制

ドバイの税制を理解しておくことは重要です。税制を理解していないと、予想より税金を多く払わなければならなかったり、知らない間に脱税をしてしまったりするでしょう。ドバイの税制をよく理解できていれば、上手く利用し、節税も可能です。

 

VAT

UAEは、2018年からVAT(Value Added Tax)を導入しています。VATは、日本では消費税のような役割を果たしており、すべてのモノやサービスに適用されています。VATの税率は、5%です。VATには、例外があります。VATの例外は、以下のとおりです。

 

  • ペルシャ湾岸6か国以外との取り引き(UAE、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア)
  • 指定ゾーンの法人との取り引き

 

ドバイから日本にある法人との取引に関しては、VATの税率は0%です。また、Dubai Aviation CityやDubai Airport Free Zoneなどといった特定のフリーゾーンとの取引だと税率が0%になります。

 

VATは、日本では消費税のような役割を果たしていますが、ドバイにはVATとは別に物品税があります。物品税は、たばこやお酒などの特定の物品に関して課される税です。VATと物品税を区別しておくとよいでしょう。

 

法人税

法人税は、2023年に導入された税項目です。法人税は、法人の活動で得られる所得に対して課される税で、ドバイでは9%を徴収されます。法人の全ての所得に対して課税されますが、免除される条件があります。免除される条件は、以下のとおりです。

 

  • 年間の法人所得が、375,000AED(1572万円:1AED=42.5円)を超えない
  • 適格フリーゾーン法人である
  • 申告をしている

 

UAE国内とフリーゾーンに拠点をおいている事業者は、課税対象になることがあります。また、国際企業は別の税率で課税されることがあるため、注意が必要です。

 

日本の法人税は、15〜23.2%であるため、ドバイの方が税優遇になります。また、申請すれば、法人税を払わなくても済むこともあるため、お得です。

 

二国間租税条約

日本とUAEの間で、二国間租税条約が締結されています。租税条約とは、二重課税をなくすことや脱税や租税回避を国同士で防ぐ条約です。例えば、ドバイで課税された税額を日本の納税額から控除することで、二重課税を防げます。条約が適用される範囲が国ごとにそれぞれ決まっています。条約の範囲は、以下のとおりです。

 

適用の範囲
日本 所得税
法人税
復興特別所得税
復興特別法人税
住民税
ドバイ 所得税
法人税

 

表の項目で脱税を図ってしまった場合、厳しく罰せられてしまうため、注意が必要です。知らない間に脱税してしまっていたとならないように、厳重な準備をしておくことが大切でしょう。

 

ドバイ税制のメリット4選

ドバイ税制のメリットを知っておきましょう。ドバイでの税制面のメリットを理解していないと、ドバイでビジネスを行うと受けられる税の恩恵を十分に受けられず、ドバイでビジネスを行う意味が薄れてしまいます。ドバイの税制面のメリットをよく理解していれば、恩恵を十分に受けられ、ビジネスによる利益も大きくできるでしょう。

 

非課税の項目が多い

日本では課税されるのに、ドバイだと課税されない項目がいくつかあります。税金が引かれない分、利益が多く残るため、利益は大きくなるでしょう。課税されない項目は、以下のとおりです。

 

  • 所得税
  • 住民税
  • 源泉徴収税
  • 贈与税
  • 自動車税
  • 印紙税

 

日本でビジネスを行っていると、これらの項目に課税されることが多いですが、ドバイではこれらの税金がかからないため、ビジネスにおける税負担が軽減されます。

 

確定申告する必要がない

ドバイでは、所得税や住民税を納める必要がないため、確定申告を行う必要がありません。これにより、以下のようなメリットがあります。

  • 手間の削減: 確定申告に関わる手間や時間を削減できます。
  • 費用の削減: 専門家に依頼する費用を抑えることができます。

日本では、事業規模が大きくなると確定申告のために専門家に依頼することが一般的ですが、ドバイではその必要がないため、ビジネスに集中することができます。

 

法人税の小規模企業向けの救済措置

UAEは、法人税の導入に伴い、スタートアップ企業や小規模企業に向けた法人税の救済措置を導入しています。課税期間中、収益が3,000,000AED(1億2350万円)以下の場合、法人税を免除できます。法人税の救済措置には、例外があるため注意が必要です。例外は、以下のとおりです。

 

  • 意図的に事業分割している
  • 適格フリーゾーン(適格の条件は未発表)
  • 申請していない

 

救済措置を受けるために、事業を分割しても措置を受けられないことがあります。また、申請を忘れてしまうと、救済措置を受けられないため、必ず申請しましょう。

 

不動産の税率が優遇されている

ドバイは、不動産業でも大きく飛躍した地区です。そのため、不動産関係の税も優遇されています。日本で払う必要があり、ドバイでは払う必要のない税金は、以下のとおりです。

 

  • 不動産所得税
  • 固定資産税
  • 登録免許税
  • 都市計画税
  • 相続税
  • 贈与税
  • 印紙税

 

ドバイで不動産を所有していても、税金として徴収される項目が、少ないことが特徴です。また、合計750,000AED(3,187万円)以上の不動産を購入した場合、2年以上ドバイに滞在できるビザを発行できるため、お得です。

 

ドバイの税務リスク4選

ドバイは税金で優遇されていることを記載してきましたが、日本での税務リスクも孕んでいます。日本に国籍がある以上、日本での税務面でのリスクを考えていないと、知らない間に脱税していたり、ドバイから出ていかなければならなかったりしてしまうでしょう。

 

税務リスクを理解していれば、問題を回避できます。問題を回避できれば、恩恵を十分に受けることもできるため、税務リスクに備え、準備をしていきましょう。

 

外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)

外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)は、ドバイのような税率が低い国で子会社を設立し、税金対策を行おうとする会社を規制するために作られた日本の法律です。外国子会社合算税制の対象になると、海外の子会社と日本の親会社の利益合計に、日本の法人税がかかり、日本に税金を納めることになります。

 

日本にいる居住者や法人が、子会社の50%以上の株式を保有していると、外国子会社合算税制の対象になります。

 

2023年に法人税が設立された後でも、法人税率が9%と低い税率であるため、実態のない子会社をおき、租税回避をする企業がいました。そのため、外国子会社合算税制で租税回避を対策しています。

 

居住者認定

外国人子会社合算税制や個人の所得税を逃れるために、年の半分以上をドバイにいても日本の居住者として認定されることがあります。閣議決定によって、UAEの納税者と認められる条件が決まりました。UAEの納税者と認められる条件は、以下のとおりです。

  • UAEに居住地もしくは主たる居住地があり、経済的および個人的な利益の中がある
  • 連続する12カ月間で、UAEに183日以上滞在している
  • 連続する12カ月間で、90日以上UAEに滞在し、UAE国民もしくは、UAEで有効な居住許可証を保持している
  • UAEに永住権がある
  • UAEで雇用を継続、または事業を行っている

UAEの納税者と認められた場合、法人税をUAEに納めることになるため、日本にいるよりも税率を低く抑えられます。

移転価格税制

移転価格税制は、海外にある関連会社との取引を通した所得の移転を防止し、自国の税収を守ることが目的です。そのため、他の国の企業と取引を行う時に、通常の価格と異なる価格で販売した場合、移転価格税制が発動します。

 

例えば、日本にある親会社がドバイにある子会社に商品を販売した時に、通常よりも少額で取引をした場合、日本での利益は通常よりも小さいです。そのため、海外への移転をしたことになります。

 

上記のような例を、防止する決まりが移転価格税制です。

 

国外転出時課税

国外転出時課税は、資産を1億円以上持つ人が国外へ転出する際に、資産を売却していない場合でも所得税として納めなければならない制度です。

  • 対象: 資産を1億円以上持つ人が国外へ転出する場合。
  • 影響: 資産の売却益として所得税を納める必要がある。
  • 注意点: 多額の資産を持って国外に転出する場合、この課税制度に注意し、適切な対策を講じる必要があります。

 

ドバイの税金に関してはEXCEEDへ 

ドバイの税金に関しては、複雑な部分が多いのが現状です。目的や理由によって、関わる税も変わってきます。目的や理由はさまざまであっても、税に関して準備が不十分だと、多額の税を払わなければならなかったり、法に触れてしまったりする問題がおきてしまうでしょう。

 

ドバイの税の専門家に相談できれば、問題が起きてしまうことを事前に防げます。さらに、ドバイの税制下の中で何を準備すれば、自分の目的に合った準備ができるかサポートしてくれるでしょう。

 

Exceed Real Estateは、初回の説明から出口まですべてを日本人のスタッフがサポートするため、安心です。また、不動産購入後や法人設立後のアフターサービスを行っているため、何か問題が起きてしまった時もすぐ対応します。

 

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